黒柄・半袖 – Black Design/Short ②
黒柄・長袖 – Black Design/Long ①
黒柄・長袖 – Black Design/Long ②
黒柄 – Black Design祖国南宋を脅かす金に抗して連戦連勝しながら非業の死を遂げ、後代、救国の英雄とされて中国史上最も愛されている民族的英雄・岳飛のTシャツです。
何故か商売の神様として世界各地のチャイナタウンに廟が建てられている関羽と比べ、日本では相対的な知名度は低い人物ですが、本国中国では大人気。
こちらはその中国で2012年に製作されたテレビドラマ「精忠岳飛(邦題:「岳飛伝-THE LAST HERO-」)」のトレーラームービーです。
水滸伝の舞台でもあった北宋。
12世紀、女真族の国・金の侵略を受け続け、最終的には皇帝が万里の長城より北に連行されてしまうと言う屈辱的な滅亡を迎えてしまいます。
そして北宋の皇族で唯一難を逃れていた高宗が立てたのが南宋でした。
この時期に武将として活躍したのが岳飛です。
農民出身でありながら、早くに亡くした父の訓戒を片時も忘れず、その背に母親によって彫られたとされる黥(入れ墨)「尽忠報国」の4文字を背負い、若年にして「春秋佐氏伝」や「孫子」「呉子」等の書物を読み、書の腕も一流、さらに様々な武芸を身に着け、左右いずれでも強弓を扱えると言う文武両道の青年に育ちます。
そして名将・宗沢の義勇軍に参加。軍功を挙げて頭角を現していき、1134年には節度使(地方の軍と財政を統括する役職)に任命されました。
宋沢の死後、精強さで鳴る金軍は大軍を起こして南下を開始しますが、ここでこの金軍相手に連戦連勝を果たしたのが世に”岳家軍”と呼ばれる、岳飛率いる私兵集団でした。
“岳家軍”は、宋代の軍の弱さの原因のひとつであった文民統制下の正規軍と異なり、岳飛と同郷の者達による私兵集団が軍閥化したもので、良く統率されていました。
さらにもうひとりの抗金の名将・韓世忠らを含めた活躍により、南宋軍が完勝。金軍は大将自身がやっとの思いで落ち延びると言う有様でした。
この勝利に喜んだ高宗は、岳飛を武昌開国公都督大元帥に封じ、「精忠岳飛」と書かれた軍旗を与えて、その功績を称えました。
その後も岳飛、韓世忠らが活躍し、金軍の南下を抑えるどころか逆に北伐を展開し旧領回復を狙う形勢にまで持ち込んで行きます。
10年以上にも渡って金軍と戦って負け無し、敵の大軍の中にあっても綱紀粛正に務め、略奪を許さなかった岳飛は、この頃には民衆の絶大な支持を受けていました。
しかし、一方でこの状況を和平の好機とみた和平派の宰相・秦檜により、和平が進められ、高宗も和平に傾いていきます。
そして、和平の邪魔になりかねない軍閥を解体する処置がとられていきました。
「中興の武功第一」と称えられた韓世忠も、兵を解散させられ、後に隠居。
主戦派筆頭であった岳飛は、有利な状況下で非常に不利な、屈辱的とも言えるような条件で行うという秦檜の和平案に強硬に反対しますが、最後は皇帝・高宗の命によりやむなく都に戻り、”岳家軍”を解散しました。
その後、謀反の証拠が莫須有（あったかもしれない）と言う前代未聞の理由で投獄された岳飛は、最後まで強要された自白を拒否し、最終的には秦檜の指示で息子・岳雲らと共に縄で首を絞められて殺され、38年の生涯を閉じました（享年39歳）。
「莫須有、千古の冤罪」と呼ばれる事件は、英雄の無惨な死によって終わったのでした。
そして秦檜がとりまとめた屈辱的な条件での和睦が成立。
その後、結果として南宋は復興を遂げ、金を滅亡させたモンゴル帝国に滅ぼされるまで100年以上に渡って繁栄を謳歌する事になった為、秦檜の和平重視の策は間違っていなかったとの評価もあるようです。
岳飛は、秦檜が存命中は反逆者の汚名を着せられていましたが、秦檜が天寿を全うして亡くなった後に冤罪である事が証明され、名誉回復がなされて鄂王に封ぜられ、喜んだ民衆の寄付により、杭州は西湖のほとり朱仙鎮に岳王廟が建てられます。
そして、モンゴル帝国そして元の支配の中で岳飛の名は漢民族の誇りとして語り継がれていきました。
なお、岳王廟の岳飛・岳雲父子の墓の前には、彼らを陥れた秦檜夫婦らが縄で繋がれた形で正座させられている像が、鉄の檻に入れられた状態で設置されており、近年は当局により禁止されているそうですが、かつては訪れた人々が彼らの像に唾を吐きかける風習があったといいます。
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